2007年12月1日土曜日

通町交番に卵賞を(3)電波利権 2007.12.X

前回述べたようなヌエ的経済社会を批判するはずの
司法・立法・行政に次ぐ第四の権力マスコミも又、ヌエ的なのが
日本社会の末期症状でありまして、やはり農耕民の血を色濃く引く日本人が
アングロサクソン主導のグローバル化に対応していくのは難儀なのだなあ……と
実感させられます(そう言う僕自身も、できれば無用な争いや競争は避けて
その場の空気、ニューマ、に身を任せたい……という日本教徒です)

市場経済というものは「公正なルールの下で」各企業が
その優劣を競っていくものだったはずです(違ったかな!? )
公正取引委員会の存在意義もその辺にあると思うのですが
先日、その公正取引委員会が、博○堂、電○、といった大手広告会社による
マスコミ支配の報告書を作成したのに、その報告書を
「国民の知る権利」に答えるべき、当のマスコミ(テレビ、新聞)が
足並みを揃えて黙殺し、「ボツ」にしてしまったとの事であります。
まさに仙台インターネットマガジン代表の佐藤研一朗氏が言う
談合を非難する者達による談合が行われたわけでありますな。

日本という国にとって、何よりも大切な事は
お宮様を守ること、なのはよく分かりますが
共産革命勢力が衰退した今、博○堂、と、電○、で
メディアを支配し、国体を守る、という体制はそろそろ転換しても
よいのではないでしょうか(戦後、満州人脈が大手広告会社の雄、電○、に
入り込んだというのは結構有名な話)

どうしてもマスコミ業界が自浄能力を発揮できないのならば
ベストセラー、国家の大義、で名高い最後の国士
東急エージェンシー元社長の前野徹氏を公正取引委員会に迎え
博○堂、と、電○、に集中排除勧告を出すくらいの
奇策、サプライズを行ってもよいのではないだろうか……などと思い至ったところ
当の前野徹氏の死去を今ネットで知りました。
何ともやりきれない思いです。
(戦後の左翼全盛の時代にあって、国士、としての生き方を通された
前野徹氏のご冥福を心よりお祈り申し上げます)

共産主義にオルグされる人間はもう少数派ですし
左翼ずれした団塊の世代も引退し始めた事ですから
近年のスピリチュアルブームで戻ってきた
庶民レベルでのお宮様、神社敬愛の念を信じて
最後の護送船団マスコミに大ナタをふるってみてはどうだろうか。

それともやはり、農耕民の血を色濃く引く日本人は
ヌエ的社会で、マスコミの流す情報に囲われていた方が居心地がよいのでしょうか。
アングロサクソン型の競争社会に身を置くよりは、ずっと居心地がよいのは
間違いないとは思いますが……。

書くことからずいぶんと離れていたせいか、勘が戻らず
三回にわたりズラズラと駄文を書き連ねてしまいましたが、ご容赦を。
とりあえず、盗難にあってしまった卵党唯一の街宣車、ダイエー自転車が
戻ってきてなによりです。
通町交番と仙台中央警察署のみなさんに、卵賞、を送りたいと思います。
副賞なしの感謝だけですが……。
警察官の皆さん、これからも市民社会の安全を守るために頑張って下さい。

読者の皆様、よいお歳を!

新春は、衆院解散、総選挙……政界ガラガラポン……活発発地へと至ることでしょう。
楽しみですね。

電光石火の超特急が――流れ星と並んで走ると言う。
銀河を超えて星くずの彼方、一直線の稲光。

歴史の本の最後のページ
白紙のままで誰にも読めないよ
さあ、出かけよう。
さあ、出かけよう。
電光石火……電光石火……お日様をむかえに行こう!!

By ブルーハーツ

よいお歳を!

―通町交番に卵賞を(完)―


関連、

戦後日本システム崩壊の前兆(1)地下鉄サリン事件=霞ヶ関支配の終焉
http://digifactory-neo.blogspot.jp/2012/09/1200312.html
戦後日本システム崩壊の前兆(2)ヒ素入りカレー事件=共同体の崩壊
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我が国とこの国(6)霞ヶ関支配の終焉
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転換期を迎えた労働組合(1)~(4)
http://digifactory-neo.blogspot.jp/2012/09/120039_7.html
7%理論(1)~(4)
http://digifactory-neo.blogspot.jp/2012/09/12003111.html
土地の持つ力(2)巣鴨プリズン
http://digifactory-neo.blogspot.com/2003/11/2200311.html
プロ野球と日本のプロ野球(7)勉強
http://digifactory-neo.blogspot.com/2004/03/720043.html





小室直樹の資本主義原論

これでも国家と呼べるのか―万死に値する大蔵・外務官僚の罪

2005年体制の誕生―新しい日本が始まる

CM化するニッポン―なぜテレビが面白くなくなったのか

電波利権 (新潮新書)

ご臨終メディア―質問しないマスコミと一人で考えない日本人 (集英社新書)

国家の大義 世界が賞賛したこの国のかたち (講談社+α新書)

三種の神器―謎めく天皇家の秘宝 (学研新書)

右翼の言い分

新聞社―破綻したビジネスモデル (新潮新書)

ネットは新聞を殺すのか-変貌するマスメディア

新聞がなくなる日

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

ウェブ人間論 (新潮新書)

フューチャリスト宣言 (ちくま新書)

サイバージャーナリズム論 「それから」のマスメディア (ソフトバンク新書)

次世代ウェブ グーグルの次のモデル (光文社新書)

グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する 文春新書 (501)

インターネットの法と慣習 かなり奇妙な法学入門 [ソフトバンク新書]

社会主義 (講談社学術文庫 511)



通町交番に卵賞を(2)警察利権 2007.12.X

今夏、盗難にあった卵党唯一の街宣車、ダイエー自転車を無事発見し
卵党総裁によって栄えある、卵賞、を授与された通町交番や
仙台中央警察署のみなさんを例に出すまでもなく
どんな大企業でも、官庁でも、日本の組織というものは
えてして現場の人間は勤勉で誠実で非常に立派です。

民間企業ならコンタクトポイント、顧客接点、という概念を
叩き込まれますしね……威圧的な新聞勧誘員を最近見なくなったのは
そのためでしょうか……インテリが作ってヤ○ザが売る、とまで揶揄される程
かつての新聞勧誘員は威圧的で、押し売り的でしたが……。
ちなみに最近僕のアパートの郵便受けには
かわいらしい「ちびっ子マサムネくん」が入っていて
河北新報を取ってくれませんか……と呼びかけています。
(河北さんも上手い事考えましたな……フフッ)

と、少々話が逸れましたが、日本の組織というものは
えてして現場の人間は、勤勉で誠実で立派です。
これがどうした事か、上に行けば行くほど腐っていく――。
昨今の防衛省の守屋元事務次官のゴルフ接待問題も凄いものがありますね。
ズブズブの防衛利権。命を張って国防にあたっている現場の自衛官に対する背任行為です。

警察、という組織も例外ではなくて、派出所、交番、などの
市民と直接接する警察官は、庶民的で誠実な方が多いものですが
県警トップであるとか、警察官僚上がりの国会議員であるとかになると
必ず黒い噂がつきまといます。
悪を持って悪を征す、で、暴力団などとも対峙しなくてはならない
警察組織には、ある程度の「悪」も、それこそ「必要悪」なのかもしれませんが
ほとんど「警察利権」と呼べそうなケースも多々見られます。

パチ打ちの方は真っ先に、パチンコ店へのCR機導入が
思い浮かぶのではないでしょうか……僕は、羽根モノのパチンコは
日本的情緒に溢れた素晴らしい娯楽だと思いますが
警察官僚によるCR機導入以降のパチンコは、
やみくもに射幸心、競争心を煽り立て、人心を荒廃させ
自己破産や犯罪を誘発させるロクデモナイものだと思います。
(最も、パチンコ業界の脱税が目に余る、というCR機導入の
表向きの理由もあったのでしょうが……)

閑話休題。
「警察利権」に関連して僕が目にしたものとしては
元県警トップが退職後に警備会社を起ち上げ、県警OBの天下り先とし
警察官僚上がりの大物族議員(仮名で静かな人としておきます)を使って
公共事業や役所絡みの入札に割り込んで行く、というものがありました。
まさに官僚王国、役人天国の縮図。

僕は民間の警備会社にいた事があるのですが、こういった半官企業の入札割り込みは
民間人からすれば完全な民業圧迫で、市場原理主義者ではない僕でさえ
ズルイな、と思ってしまいます。
民間人は、形容ではなくて、ホントに血尿を流しながら努力しているのであります。
僕も現場の警備員時代、長時間勤務で血の混じった痰を出した事がありました。
そういった所に、資本力、権力とも磐石な半官企業が割り込んでくる。
バックには元県警トップと警察官僚上がりの仮名で静かな大物族議員がついている。
官僚王国解体論を掲げ、構造改革を目指した小泉純一郎元首相が
郵政・ガリレオ解散時にその仮名で静かな大物族議員に異常なファイトを燃やし
「俺が出る! 」とまで息巻き、ホリエモンこと堀江貴文氏を刺客として送りこんだのも
よく分かります(その後、仮名氏は生き残り、堀江氏は塀に落ちましたが……)

以上述べてきたような、官僚王国、防衛利権、警察利権……を
僕は「ズルイ」と感じます。つまり、フェアではない、という事。
最も、仮名で静かな大物族議員に言わせれば、面倒見がよい暖かい保守、という事に
なるのかもしれませんが、その面倒見のよさのせいで職を奪われる僕のような
純粋民間人もいるわけです。
完全情報、完全競争、完全市場……といった環境ではなく
半官企業、公社・公団のファミリー企業がうごめき
背後で族議員の口利きが跋扈する経済。
現代日本最高の知性、小室直樹氏の言葉を借りて言えば
資本主義風であるが、社会主義的であり、封建社会然としている……ベンベン。
サルの頭にトラの手足、体躯はタヌキで、尾はヘビ……といった伝説の生き物
ヌエに例えたヌエ経済が戦後の日本経済でした。
そういったヌエ経済の社会では、媚、へつらい、ヨイショが横行する
竹下先生は凄い! の「甘えの構造」の世界となります。
仮名先生は偉い! 

実は、僕がかつて仲間入りを目指していた「中央文壇」というものも
護送船団、擬制血縁共同体(ゲマインテ)でありまして、
内部と外部の二重基準(ダブルスタンダード)を持つギルド世界です。
よって「中央文壇」で文壇政治で食べている人達は
決してインターネットに文章を書こうとしません。
そんなに訴えたい事があるならネットに書けばいいではないか、と
思うのですが、インターネット上の言論空間は
完全情報、完全競争、完全市場……の世界なので「中央文壇」の人達は
インターネット上に文章を書けないのです。
その点、インターネットにも文章を書く、村上龍氏や
猪瀬直樹氏は、主張と態度が一貫していて偉いな、と僕は尊敬してしまいます。
(地方都市に住む小説家の卵の分際で、身の程もわきまえずに
偉そうな事を述べてしまい、中央文壇の先生方申し訳ございません)

何やら話が、脱線してしまいましたが
この、ヌエ経済、ヌエ的社会、媚、へつらい、ヨイショが跋扈し
ズブズブの利権、ガチガチのギルド、が幅を利かす戦後の日本社会システム
経済システム、及び、文化、を脱して
活のいい魚がピチピチと撥ね回るような「活発発地」そう「活発発地」へと至るべく
思い切った改革ができないものかと僕は思うわけであります。
その選択肢の一つは、いよいよ視野に入ってきた
民主党の本格政権による政権交代ではないでしょうか。
小沢一郎民主党代表も述べられるように
民主党の政権担当能力は未知数ですが
三本足の神鳥、ヤタガラス、を、最近あちこちで目にするようになってきましたので
そろそろ政界をガラガラポンして「活発発地」へと至る時なのではないかと
思ったりするわけであります。

この辺の問題は、作家の猪瀬直樹さんの独壇場だと思います。
先日東京都副知事に就任された猪瀬直樹氏を、僕は陰ながら応援しております。
石原慎太郎都知事とのコラボレーションで、ヌエ的日本社会を
より公正でフェアなものに改革し「活発発地」へと導いてほしいものであります。


―通町交番に卵賞を(3)電波利権、へ続く―

通町交番に卵賞を(1)壊れ窓理論 2007.12.X

お盆の節、卵党総裁の唯一の街宣車であるダイエー自転車が
何者かの手によって盗難にあってしまい、卵党総裁の僕は
即座に近所の通町交番に被害届けを出したのでありました。
(街宣車一号、YAMAHAビラーゴXV250は、維持費が払えず
やむなく処分。排ガスゼロのエコライフへ……)

ベンベン……。
待つ事一ヶ月。
奇しくも、通町交番へ被害届けを出してからちょうど一ヶ月後に
仙台中央警察署から電話があり、僕の唯一の街宣車であるダイエー自転車が
発見されたとの事。
翌日、早速仙台中央警察署へ出頭し、手続きを行い
卵党唯一の街宣車、ダイエー自転車を無事引き取ってきたのでありました。

僕は今夏のお盆の節の自転車盗難騒動で、ほとほと日本の警察官、警察組織の
優秀さというものに感心させられたのであります。
通町交番のみなさんも、仙台中央警察署のみなさんも
大変丁寧に対応してくれて、ワイロを渡さないと警察が動かないというような国も
世界にはある中で、日本の警察は、様々な不祥事が喧伝される中でも
まだまともな方なのかな……とも思ったのでありました。

壊れ窓、といった一見小さな事件・案件を、丁寧に解決・修繕していく事が
殺人、強姦、といった凶悪犯罪を未然に防ぐことにもつながっていくのだ……という
「壊れ窓理論」と呼ばれるよく知られた防犯理論がありますが
ダイエーで、自転車が一万円前後で買える時代にあっても
やはり、自転車盗難、といった小さな事件を一つ一つ丁寧に
解決していく事が、街全体の治安維持にとって大切な事なのかもしれません。

という訳で、卵党総裁の僕は、盗難街宣車を無事発見してくれた
通町交番と仙台中央警察署のみなさんに、卵賞、を贈呈する事に
したのでありました。副賞なしの感謝だけですが……。

―通町交番に卵賞を(2)警察利権、へ続く―

http://digifactory-neo.blogspot.jp/2012/09/2200712.html

2007年6月1日金曜日

地球温暖化に思ふ―「好都合な真実」日本が誇る鎮守の森 2007.6.X

2011年のアナログ放送終了で、だいぶ状況は変わると思いますが
やはり2007年現在は未だテレビの時代であり、卵のなかみ、でも何度か
述べてきましたが、現代の政治家にはテレビカメラを向けられた時に
しっかりとアピールできる、俳優の才能、演技力が必要です。

政治評論家の故・早坂茂三氏が何かの本の中で、小沢一郎氏がテレビに出ると
そのルックスのために、お茶の間でチャンネルを変えられてしまう……と評して
いた記憶がありますが、現在、民主党代表となられた小沢一郎氏が積極的には
テレビに出てこないように見えるのも、案外とその辺に理由があるのかもしれません。
(最も僕は、最近ほとんどテレビを見ていませんので……印象論です)

その点、かつて民主党代表を務められた岡田克也氏は、中々のナイスガイ
いわゆるイケメンで、テレビ映えするので選挙向けの、党の顔、としては
最適だったのではないでしょうか。
だがしかし政界は、一寸先は闇、の世界で、演技の天才、小泉純一郎首相に
郵政・ガリレオ解散、小泉劇場をしかけられ、あえなく撃沈……代表辞任へ。

現内閣官房長官の塩崎恭久氏も中々のナイスガイで、テレビに出る機会の多い
官房長官には相応しいのかもしれません。

ちなみに卵党総裁である僕は、あまりにもいい男であるために、テレビの前の
若い女性達が失神して倒れてしまうといけないので、極力テレビには出ない事に
しております。

テレビ、というマスメディアは恐ろしいもので、人は中身、などという青臭い建前を
木端微塵に吹き飛ばしてしまいます。粉砕してしまうと言うべきか―。

と、参院選の近い事もあり、政治ネタから入ってみたのですが(みなさん、参院選の投票の際は、
テレビ報道に踊らされないようにしましょう)今日は政治ネタも絡めつつ、地球温暖化について
考えてみようと思ったのであります。

     ◆          ◆          ◆

政治、ナイスガイ、映像、地球温暖化とくれば、元アメリカ合衆国副大統領
アル・ゴア氏によるドキュメンタリー映画「不都合な真実」と来るのが
現在の潮流ではないでしょうか(異論のある方もおられるかもしれませんが……)

話は逸れるようですが、日本が、というか先進各国が、近代化・工業化を推し進め、
突き進んでいた戦後のある時期まで、メディアの都市礼讃・田舎蔑視の風潮は
すごいものがありました(ダ・埼玉、おら東京さ行ぐだ、15円50銭って言ってみろ……etc.)
しかしここへきて、近代化・工業化・都市化の行き詰まり感が出てきた中、近代化の過程で
切り捨てられてきた、田舎、が今見直されてきているのではないでしょうか。
僕は最近、石油をバカみたいに消費して、都会的でお洒落で最先端な、ナウい、生活をしている
人達がダサく見えるのです。それで都市住民は、ロハス、とか言い始めたのかもしれませんが、
ロハスもスピリチュアルも、田舎に行けば、嫌というほどあります。江原氏くらいの霊能者? 
なら、田舎には履いて捨てる程います。僕自身も人前では言えない程の田舎の生まれなので
その辺はよく分かります(さらに脱線しますが、僕は最近、人間の霊性と石油の消費量の
相関関係について考えています。石油をバカみたいに使って近代化を進めていくと
霊性が失われていくのではないかしらん、と)

相当話が飛んでしまいましたが、ナイスガイの環境伝道師アル・ゴア氏による
ドキュメンタリー映画「不都合な真実」の話に戻ります。
僕も、二ヶ月程前になりますが、この新世紀のロハスブーム、
アースコンシャスムーブメント(略してアスコン!!)に乗り遅れてはならじ、と
気合を入れて、アル・ゴア氏の映画「不都合な真実」を、仙台駅東口の
「チネ・ラヴィータ」なる渋い映画館で観てきたのでした。

で、感想はと言えば、疑う事を知らない単純な僕は、ナイスガイ、アル・ゴア氏の中々の
役者ぶり、大スクリーンで繰り広げられる世界中の様々な天変地異を見て……
1972年のローマクラブの報告書、成長の限界、がいよいよ現実のものとなってきましたな……
産業革命に端を発した西洋近代文明の行き詰まりであるぞ……
これはもしや、今こそ鎮守の森を擁する神ながらの道、日本文化、神道の出番ではないか……
などと大いにエスノセントリック(自民族中心主義)をかきたてられたのであります。

     ◆          ◆          ◆

戦後生まれのほとんどの人にとって、神道というと、マスコミが毎年夏になると靖国神社へ向かう
自民党の先生方にマイクを向けて、公式参拝ですか? 私的参拝ですか? とやっている例の、
夏の風物詩、くらいの認識しかないかもしれませんが、ああいった形で、近代国家リバイアサンに
取り込まれるずっと以前から、太古の昔からというべきか、神道は、日本全国津々浦々の
鎮守の森の中に、社や祠を通して溶け込み、日本人の精神の深いところに根付いていたわけで
あります。

哲学者の梅原猛氏が近代日本を振り返り、神は二度死んだ、と朝日新聞の文化欄で述べて
いたように思いますが、僭越ながら補足させてもらえば、明治の廃仏毀釈、神社合祀運動、
戦後の天皇の神格否定、GHQによる神道指令、そして90年代のサカキバラ事件によって、
近代日本で神は三度死んだのではないだろうか。

しかしながら、2600年以上とも言われる、いや、近年新発見が相次ぐ縄文時代まで含めれば、
それこそ途方もなく長い日本の悠久の歴史の中では、昭和期最大の天才軍人石原莞爾によって
大東亜戦争のA級戦犯、と称されたペリー提督が、黒舟を引き連れてやってきて
無理やり日本という国をこじあけて以降の日本近代140年の歩みなど、おまけのようなものです
(国民が敗戦に打ちひしがれている時に、大東亜戦争のA級戦犯はペリーだ、とかやるところに
石原莞爾の魅力・魔力があります。ちなみに東京都知事の石原慎太郎氏とは苗字が共に
石原である事と、共に法華経を奉じているというだけで親戚関係などはないらしいです。
石原莞爾は山形県の出身です)

で、アル・ゴア氏の映画「不都合な真実」を観て、1972年のローマクラブの報告書、
成長の限界、がいよいよ現実のものとなってきましたな……産業革命に端を発した
西洋近代文明の行き詰まりであるぞ……と思った僕は、大東亜戦争のA級戦犯ペリー提督が、
黒舟でもって日本に武力による威嚇をかけてくる以前の「美しい国」日本にはあった、
鎮守の森、を擁する神ながらの道、神道の出番なのではないかと思い至ったのであります。

     ◆          ◆          ◆

卵のなかみ、でも折に触れて書いてきましたが、仙台という都市は、都会なのか田舎なのか
よく分からない所がある政令指定都市でありまして、鎮守の森、や、明治以前の神仏習合の
信仰形態を色濃く遺している場所がたくさんあるのであります。
つまり、大東亜戦争のA級戦犯ペリー提督が、武力による威嚇を持って日本という国を
こじ開ける以前の、鎮守の森、を擁する神ながら道、が遺っているのであります。

僕が住んでいる仙台北山という場所は、まさに神仏習合の土地で、仁王様も狛犬さんも、
地蔵様も釈迦像も本を読んでいて気になったら歩いて三分で見に行けるのですよ、という事は
以前も記しました。

そこで何気に、先月5月27日に、仙台北山の、曹洞宗輪王寺で行われた植樹祭に
参加してみたところ、その、ザ・鎮守の森、を世界に広めている、宮脇昭先生を
目にしてしまったのであります。
鎮守の森 (新潮文庫)





宮脇先生は「3000万本の木を植えた男」と言われ、生きながらにして伝説と化している
凄い方で、東南アジア、中国、アフリカなど、森作りのために世界中を飛び回って
おられるようです。
その活動の一環として、仙台北山の輪王寺の植樹祭にもいらしていたのだと思いますが、
70歳を越えるご高齢とは思えないアクティブな方でした(団塊世代へのあてつけでは
ありませんが、戦前生まれの日本人には立派な方が多いような気がするのは
気のせいでしょうか)

僕は、この輪王寺の植樹祭に参加するのは昨年に続き二度目だったのですが、
今年は、映画の上映やコンサートが行われ、露天も出て、スペシャルゲストとして、
プロレスラーの坂口征二さんや、みちのくプロレスの新崎人生さん、
センダイガールズプロレスリングのみなさんや、楽天野球団のマーティ・キーナートさんが
いらしていて(あと、梅原克彦仙台市長も)昨年よりも盛大に行われました。

明るく賑やかなお寺さん、というのも中々よいものですな、と思ったのですが、
鎮守の森の神仏の下、ワイワイと縁日で賑わっている、という光景は、
日本人の原風景ではないでしょうか。

僕はかつて、このエッセイの中で、日本仏教を、葬式仏教、坊主丸儲け、などと
罵ってしまいましたが、仙台北山の輪王寺さんのように、立派に社会貢献している
お寺さんもあるのであります。
ついでに先日、ホームレス支援の雑誌、ビッグイシュー、の市民パトロンの欄に、
日蓮宗、の名前を見かけました。仏教関係者も頑張っておられるわけです。
やはり、日本仏教、と対象を一括りにして批判するのはよろしくないですな。
真剣に仏行を行っておられる仏教関係者にこの場を借りて率直に謝罪したいと思います。
坊主憎けりゃ、袈裟まで憎い、となってはいけませんね。

     ◆          ◆          ◆

で、この仙台北山の輪王寺での植樹祭に参加してみて、ザ・鎮守の森、を世界に広められている
宮脇昭先生に興味を持った僕は、その後、上述の宮脇先生の著書、その名も、鎮守の森、を
購入して読んでみたのでありますが、やはり、日本の基層を築き上げた先人達の知恵という
ものは凄いものがあるな、と感心したのでありました。

西洋近代の舶来ものの知識でもって、常に追いつき、追い越せ、と、進歩、発展を求めてきた
日本近代140年。そういった中、迷信、前近代的、遅れた田舎……と切り捨ててきた
ものの中に、おそろしく深遠な思想が隠されていたりするのであります。

よく言われるように日本人は、西洋人のように、哲学を語る、事はあまりありませんが、
昔から、哲学を表現、してきたのであります。

現在注目されている、スピリチュアル、も、ロハス、も、エコ、も、アースコンシャス、も、
全て日本の田舎の、鎮守の森、の中にあるのです。

20世紀になってウィトゲンシュタインが、論理哲学論、において、
語りえぬことについては沈黙しなくてはならない、と言語の限界を指摘するずっと以前から、
日本の先人達は、言語の限界を知っていたのではないか、とさえ思ってしまいます。
神道は伝統的に、言挙げ、しませんが、それは、真理を言葉で表現する事が出来ない事を、
ウィトゲンシュタインのずっと以前から知っていたからではないか、とさえ言ったら、
エスノセントリック(自民族中心主義)に過ぎるでしょうか。

     ◆          ◆          ◆

でで、この日本が誇る、鎮守の森、を世界に発信する宮脇昭先生の著書
その名も、鎮守の森、という本に、イオン株式会社名誉会長相談役の岡田卓也氏が
推薦文と解説を寄せています。

僕は、書店で宮脇先生の、鎮守の森、を手にとった際、参院選が近い事もあり、
てっきり民主党元代表の岡田克也氏が推薦文を寄せているものと思い
購入してしまったのですが、推薦文を寄せていたのは、一字違いのイオングループ総帥、
岡田卓也氏でした(推薦文って大切ですね)ちなみに、岡田卓也氏は、岡田克也氏の
お父上のようです。となると岡田克也氏はイオングループの御曹司という事になりますな。

そこで僕はひらめいたのであります。政治、ナイスガイ、映像、地球温暖化とくれば、
元アメリカ合衆国副大統領の環境伝道師、アル・ゴア氏によるドキュメンタリー映画「不都合な真実」と来る現在の潮流の中、日本も負けじと、ここはぜひ一つ、イオングループの御曹司、
民主党元代表、岡田克也氏主演による、宮脇昭先生監修の環境啓蒙映画
「好都合な真実、鎮守の森」を作成し、世界に向けて公開してみてはどうだろうか、と。
岡田克也氏は、アル・ゴア氏に引けを取らない東洋的ナイスガイ、いわゆるイケメンでもあるし、
環境に優しい日本を世界にアピールできるソフトパワーにもなるのではないか、と。
映画制作費くらいイオングループがバックにつけば余裕で集められるだろう。官から民へ。
ついでに民主党も党勢を回復できる。まさに一石二鳥。

アル・ゴア氏による「不都合な真実」などに負けてはならぬ。
イオングループ協賛による、宮脇昭先生監修、岡田克也氏主演映画
「好都合な真実、鎮守の森」を世界に発信しよう……などと妄想が広がってしまいましたが、
安倍総理による「美しい星へのいざない」に先を越されたか……
民主党はいったい何をしているのだ。
宮脇昭先生監修、岡田克也氏主演による環境啓蒙映画「好都合な真実、鎮守の森」中々いい
アイデアだと思うのだが……下手なテレビCMを打つより民主党の党勢回復につながるはず。
ちなみに、仙台北山の輪王寺の植樹祭に参加してプレゼントされたDVD、森の精霊、
緑の戦士、植樹マンと、シージェッター海斗による「僕らの地球をまもる森と海」という
環境啓蒙映画は中々面白く勉強になりましたぞ。

     ◆          ◆          ◆

今日は政治ネタも絡めつつ、地球温暖化について考えてみようと思ったのでありますが、
何だかあちこち飛んでばかりでとりとめのない話になってしまいましたが要は
21世紀の世界的問題、下手したら22世紀は来ないのではないか、とさえ思える地球温暖化、
環境問題を解決するのに、日本が誇る、鎮守の森、に隠された思想が
役に立つのではないかしらん、という話なのです。

1972年のローマクラブの報告書、成長の限界、がいよいよ現実のものとなり……
産業革命に端を発した西洋近代文明の行き詰まりが見えてきた今こそ……
鎮守の森、を擁する神ながらの道、日本文化、神道の出番ではないか…と。


―地球温暖化に思ふ―「好都合な真実」日本が誇る鎮守の森(完)―


P.S

先日、一番町を歩いていたら、地球温暖化を止めるためのプロジェクト
「30秒で世界を変えちゃう新聞」の「豪快な号外」というものを道端で手渡されました。
http://www.teamgogo.net/ 

地球温暖化に対する危機感は相当広まっているようですね。


関連、

皆殺しのメロディー(1)(2)
http://digifactory-neo.blogspot.jp/2012/09/1200310_8.html
スピリチュアルブームに思ふ―見えない存在への思ひ
http://digifactory-neo.blogspot.com/2007/02/20072.html
白鯨の古典的退屈ぶりは超一流である
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土地の持つ力(4)仙台北山
http://digifactory-neo.blogspot.jp/2012/09/4200311_2316.html
水の話(5)文学と水
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手のひらを太陽に
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顕教と密教
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阿吽の呼吸
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メルマガ創刊記念 百日裁判(5)オレオレ詐欺
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鎮守の森 (新潮文庫)

不都合な真実

「都市主義」の限界 (中公叢書)

経済成長がなければ私たちは豊かになれないのだろうか (平凡社ライブラリー)

日本奥地紀行 (平凡社ライブラリー)

イザベラ・バードの『日本奥地紀行』を読む (平凡社ライブラリーoffシリーズ)

日本とは何かということ―宗教・歴史・文明 (NHKライブラリー)

日本人と「日本病」について (文春文庫)

梅原猛著作集〈9〉塔 (1982年)

梅原猛著作集〈10〉隠された十字架 (1982年)

梅原猛著作集〈11〉水底の歌 (1982年)

梅原猛著作集〈15〉飛鳥とは何か (1982年)

梅原猛著作集〈19〉美と倫理の矛盾 (1983年)

君は弥生人か縄文人か―梅原日本学講義 (集英社文庫)

神風連とその時代 (MC新書)

日本近代化の思想 (講談社学術文庫)

天皇制の基層 (講談社学術文庫)

日本人のための憲法原論

大東亜戦争ここに甦る―戦争と軍隊、そして国運の大研究

大東亜戦争肯定論

対話・日本人論 (1966年)

「東京裁判」を裁判する


宰相の器―人心は、どんな男に向かうのか (集英社文庫)

現代芸術の戦略―中村雄二郎対話集

精霊の王

哲学の東北

論理哲学論 (中公クラシックス)

空海とアインシュタイン―宗教と科学の対話 (PHP新書)

日本的霊性 (岩波文庫)

法華経〈上〉 (岩波文庫)

法華経〈中〉 (岩波文庫)

法華経 下  岩波文庫 青 304-3

あの世はあった―文豪たちは見た!ふるえた!

「神道」のこころ

永遠の創造 神道のちから―人間を超える力とは…

神道の逆襲 (講談社現代新書)

日本人なら知っておきたい神道

神国日本 (ちくま新書)

南方熊楠選集 1

南方熊楠選集 2

南方熊楠選集 3

南方熊楠選集 4

南方熊楠選集 (5)

南方熊楠選集 (6)

南方熊楠選集 (別巻)

南方熊楠と「事の学」

近代文学の終り―柄谷行人の現在

NAM生成

更新期の文学

書きあぐねている人のための小説入門

岩波講座 文学〈2〉メディアの力学