2007年6月1日金曜日

地球温暖化に思ふ―「好都合な真実」日本が誇る鎮守の森 2007.6.X

2011年のアナログ放送終了で、だいぶ状況は変わると思いますが
やはり2007年現在は未だテレビの時代であり、卵のなかみ、でも何度か
述べてきましたが、現代の政治家にはテレビカメラを向けられた時に
しっかりとアピールできる、俳優の才能、演技力が必要です。

政治評論家の故・早坂茂三氏が何かの本の中で、小沢一郎氏がテレビに出ると
そのルックスのために、お茶の間でチャンネルを変えられてしまう……と評して
いた記憶がありますが、現在、民主党代表となられた小沢一郎氏が積極的には
テレビに出てこないように見えるのも、案外とその辺に理由があるのかもしれません。
(最も僕は、最近ほとんどテレビを見ていませんので……印象論です)

その点、かつて民主党代表を務められた岡田克也氏は、中々のナイスガイ
いわゆるイケメンで、テレビ映えするので選挙向けの、党の顔、としては
最適だったのではないでしょうか。
だがしかし政界は、一寸先は闇、の世界で、演技の天才、小泉純一郎首相に
郵政・ガリレオ解散、小泉劇場をしかけられ、あえなく撃沈……代表辞任へ。

現内閣官房長官の塩崎恭久氏も中々のナイスガイで、テレビに出る機会の多い
官房長官には相応しいのかもしれません。

ちなみに卵党総裁である僕は、あまりにもいい男であるために、テレビの前の
若い女性達が失神して倒れてしまうといけないので、極力テレビには出ない事に
しております。

テレビ、というマスメディアは恐ろしいもので、人は中身、などという青臭い建前を
木端微塵に吹き飛ばしてしまいます。粉砕してしまうと言うべきか―。

と、参院選の近い事もあり、政治ネタから入ってみたのですが(みなさん、参院選の投票の際は、
テレビ報道に踊らされないようにしましょう)今日は政治ネタも絡めつつ、地球温暖化について
考えてみようと思ったのであります。

     ◆          ◆          ◆

政治、ナイスガイ、映像、地球温暖化とくれば、元アメリカ合衆国副大統領
アル・ゴア氏によるドキュメンタリー映画「不都合な真実」と来るのが
現在の潮流ではないでしょうか(異論のある方もおられるかもしれませんが……)

話は逸れるようですが、日本が、というか先進各国が、近代化・工業化を推し進め、
突き進んでいた戦後のある時期まで、メディアの都市礼讃・田舎蔑視の風潮は
すごいものがありました(ダ・埼玉、おら東京さ行ぐだ、15円50銭って言ってみろ……etc.)
しかしここへきて、近代化・工業化・都市化の行き詰まり感が出てきた中、近代化の過程で
切り捨てられてきた、田舎、が今見直されてきているのではないでしょうか。
僕は最近、石油をバカみたいに消費して、都会的でお洒落で最先端な、ナウい、生活をしている
人達がダサく見えるのです。それで都市住民は、ロハス、とか言い始めたのかもしれませんが、
ロハスもスピリチュアルも、田舎に行けば、嫌というほどあります。江原氏くらいの霊能者? 
なら、田舎には履いて捨てる程います。僕自身も人前では言えない程の田舎の生まれなので
その辺はよく分かります(さらに脱線しますが、僕は最近、人間の霊性と石油の消費量の
相関関係について考えています。石油をバカみたいに使って近代化を進めていくと
霊性が失われていくのではないかしらん、と)

相当話が飛んでしまいましたが、ナイスガイの環境伝道師アル・ゴア氏による
ドキュメンタリー映画「不都合な真実」の話に戻ります。
僕も、二ヶ月程前になりますが、この新世紀のロハスブーム、
アースコンシャスムーブメント(略してアスコン!!)に乗り遅れてはならじ、と
気合を入れて、アル・ゴア氏の映画「不都合な真実」を、仙台駅東口の
「チネ・ラヴィータ」なる渋い映画館で観てきたのでした。

で、感想はと言えば、疑う事を知らない単純な僕は、ナイスガイ、アル・ゴア氏の中々の
役者ぶり、大スクリーンで繰り広げられる世界中の様々な天変地異を見て……
1972年のローマクラブの報告書、成長の限界、がいよいよ現実のものとなってきましたな……
産業革命に端を発した西洋近代文明の行き詰まりであるぞ……
これはもしや、今こそ鎮守の森を擁する神ながらの道、日本文化、神道の出番ではないか……
などと大いにエスノセントリック(自民族中心主義)をかきたてられたのであります。

     ◆          ◆          ◆

戦後生まれのほとんどの人にとって、神道というと、マスコミが毎年夏になると靖国神社へ向かう
自民党の先生方にマイクを向けて、公式参拝ですか? 私的参拝ですか? とやっている例の、
夏の風物詩、くらいの認識しかないかもしれませんが、ああいった形で、近代国家リバイアサンに
取り込まれるずっと以前から、太古の昔からというべきか、神道は、日本全国津々浦々の
鎮守の森の中に、社や祠を通して溶け込み、日本人の精神の深いところに根付いていたわけで
あります。

哲学者の梅原猛氏が近代日本を振り返り、神は二度死んだ、と朝日新聞の文化欄で述べて
いたように思いますが、僭越ながら補足させてもらえば、明治の廃仏毀釈、神社合祀運動、
戦後の天皇の神格否定、GHQによる神道指令、そして90年代のサカキバラ事件によって、
近代日本で神は三度死んだのではないだろうか。

しかしながら、2600年以上とも言われる、いや、近年新発見が相次ぐ縄文時代まで含めれば、
それこそ途方もなく長い日本の悠久の歴史の中では、昭和期最大の天才軍人石原莞爾によって
大東亜戦争のA級戦犯、と称されたペリー提督が、黒舟を引き連れてやってきて
無理やり日本という国をこじあけて以降の日本近代140年の歩みなど、おまけのようなものです
(国民が敗戦に打ちひしがれている時に、大東亜戦争のA級戦犯はペリーだ、とかやるところに
石原莞爾の魅力・魔力があります。ちなみに東京都知事の石原慎太郎氏とは苗字が共に
石原である事と、共に法華経を奉じているというだけで親戚関係などはないらしいです。
石原莞爾は山形県の出身です)

で、アル・ゴア氏の映画「不都合な真実」を観て、1972年のローマクラブの報告書、
成長の限界、がいよいよ現実のものとなってきましたな……産業革命に端を発した
西洋近代文明の行き詰まりであるぞ……と思った僕は、大東亜戦争のA級戦犯ペリー提督が、
黒舟でもって日本に武力による威嚇をかけてくる以前の「美しい国」日本にはあった、
鎮守の森、を擁する神ながらの道、神道の出番なのではないかと思い至ったのであります。

     ◆          ◆          ◆

卵のなかみ、でも折に触れて書いてきましたが、仙台という都市は、都会なのか田舎なのか
よく分からない所がある政令指定都市でありまして、鎮守の森、や、明治以前の神仏習合の
信仰形態を色濃く遺している場所がたくさんあるのであります。
つまり、大東亜戦争のA級戦犯ペリー提督が、武力による威嚇を持って日本という国を
こじ開ける以前の、鎮守の森、を擁する神ながら道、が遺っているのであります。

僕が住んでいる仙台北山という場所は、まさに神仏習合の土地で、仁王様も狛犬さんも、
地蔵様も釈迦像も本を読んでいて気になったら歩いて三分で見に行けるのですよ、という事は
以前も記しました。

そこで何気に、先月5月27日に、仙台北山の、曹洞宗輪王寺で行われた植樹祭に
参加してみたところ、その、ザ・鎮守の森、を世界に広めている、宮脇昭先生を
目にしてしまったのであります。
鎮守の森 (新潮文庫)





宮脇先生は「3000万本の木を植えた男」と言われ、生きながらにして伝説と化している
凄い方で、東南アジア、中国、アフリカなど、森作りのために世界中を飛び回って
おられるようです。
その活動の一環として、仙台北山の輪王寺の植樹祭にもいらしていたのだと思いますが、
70歳を越えるご高齢とは思えないアクティブな方でした(団塊世代へのあてつけでは
ありませんが、戦前生まれの日本人には立派な方が多いような気がするのは
気のせいでしょうか)

僕は、この輪王寺の植樹祭に参加するのは昨年に続き二度目だったのですが、
今年は、映画の上映やコンサートが行われ、露天も出て、スペシャルゲストとして、
プロレスラーの坂口征二さんや、みちのくプロレスの新崎人生さん、
センダイガールズプロレスリングのみなさんや、楽天野球団のマーティ・キーナートさんが
いらしていて(あと、梅原克彦仙台市長も)昨年よりも盛大に行われました。

明るく賑やかなお寺さん、というのも中々よいものですな、と思ったのですが、
鎮守の森の神仏の下、ワイワイと縁日で賑わっている、という光景は、
日本人の原風景ではないでしょうか。

僕はかつて、このエッセイの中で、日本仏教を、葬式仏教、坊主丸儲け、などと
罵ってしまいましたが、仙台北山の輪王寺さんのように、立派に社会貢献している
お寺さんもあるのであります。
ついでに先日、ホームレス支援の雑誌、ビッグイシュー、の市民パトロンの欄に、
日蓮宗、の名前を見かけました。仏教関係者も頑張っておられるわけです。
やはり、日本仏教、と対象を一括りにして批判するのはよろしくないですな。
真剣に仏行を行っておられる仏教関係者にこの場を借りて率直に謝罪したいと思います。
坊主憎けりゃ、袈裟まで憎い、となってはいけませんね。

     ◆          ◆          ◆

で、この仙台北山の輪王寺での植樹祭に参加してみて、ザ・鎮守の森、を世界に広められている
宮脇昭先生に興味を持った僕は、その後、上述の宮脇先生の著書、その名も、鎮守の森、を
購入して読んでみたのでありますが、やはり、日本の基層を築き上げた先人達の知恵という
ものは凄いものがあるな、と感心したのでありました。

西洋近代の舶来ものの知識でもって、常に追いつき、追い越せ、と、進歩、発展を求めてきた
日本近代140年。そういった中、迷信、前近代的、遅れた田舎……と切り捨ててきた
ものの中に、おそろしく深遠な思想が隠されていたりするのであります。

よく言われるように日本人は、西洋人のように、哲学を語る、事はあまりありませんが、
昔から、哲学を表現、してきたのであります。

現在注目されている、スピリチュアル、も、ロハス、も、エコ、も、アースコンシャス、も、
全て日本の田舎の、鎮守の森、の中にあるのです。

20世紀になってウィトゲンシュタインが、論理哲学論、において、
語りえぬことについては沈黙しなくてはならない、と言語の限界を指摘するずっと以前から、
日本の先人達は、言語の限界を知っていたのではないか、とさえ思ってしまいます。
神道は伝統的に、言挙げ、しませんが、それは、真理を言葉で表現する事が出来ない事を、
ウィトゲンシュタインのずっと以前から知っていたからではないか、とさえ言ったら、
エスノセントリック(自民族中心主義)に過ぎるでしょうか。

     ◆          ◆          ◆

でで、この日本が誇る、鎮守の森、を世界に発信する宮脇昭先生の著書
その名も、鎮守の森、という本に、イオン株式会社名誉会長相談役の岡田卓也氏が
推薦文と解説を寄せています。

僕は、書店で宮脇先生の、鎮守の森、を手にとった際、参院選が近い事もあり、
てっきり民主党元代表の岡田克也氏が推薦文を寄せているものと思い
購入してしまったのですが、推薦文を寄せていたのは、一字違いのイオングループ総帥、
岡田卓也氏でした(推薦文って大切ですね)ちなみに、岡田卓也氏は、岡田克也氏の
お父上のようです。となると岡田克也氏はイオングループの御曹司という事になりますな。

そこで僕はひらめいたのであります。政治、ナイスガイ、映像、地球温暖化とくれば、
元アメリカ合衆国副大統領の環境伝道師、アル・ゴア氏によるドキュメンタリー映画「不都合な真実」と来る現在の潮流の中、日本も負けじと、ここはぜひ一つ、イオングループの御曹司、
民主党元代表、岡田克也氏主演による、宮脇昭先生監修の環境啓蒙映画
「好都合な真実、鎮守の森」を作成し、世界に向けて公開してみてはどうだろうか、と。
岡田克也氏は、アル・ゴア氏に引けを取らない東洋的ナイスガイ、いわゆるイケメンでもあるし、
環境に優しい日本を世界にアピールできるソフトパワーにもなるのではないか、と。
映画制作費くらいイオングループがバックにつけば余裕で集められるだろう。官から民へ。
ついでに民主党も党勢を回復できる。まさに一石二鳥。

アル・ゴア氏による「不都合な真実」などに負けてはならぬ。
イオングループ協賛による、宮脇昭先生監修、岡田克也氏主演映画
「好都合な真実、鎮守の森」を世界に発信しよう……などと妄想が広がってしまいましたが、
安倍総理による「美しい星へのいざない」に先を越されたか……
民主党はいったい何をしているのだ。
宮脇昭先生監修、岡田克也氏主演による環境啓蒙映画「好都合な真実、鎮守の森」中々いい
アイデアだと思うのだが……下手なテレビCMを打つより民主党の党勢回復につながるはず。
ちなみに、仙台北山の輪王寺の植樹祭に参加してプレゼントされたDVD、森の精霊、
緑の戦士、植樹マンと、シージェッター海斗による「僕らの地球をまもる森と海」という
環境啓蒙映画は中々面白く勉強になりましたぞ。

     ◆          ◆          ◆

今日は政治ネタも絡めつつ、地球温暖化について考えてみようと思ったのでありますが、
何だかあちこち飛んでばかりでとりとめのない話になってしまいましたが要は
21世紀の世界的問題、下手したら22世紀は来ないのではないか、とさえ思える地球温暖化、
環境問題を解決するのに、日本が誇る、鎮守の森、に隠された思想が
役に立つのではないかしらん、という話なのです。

1972年のローマクラブの報告書、成長の限界、がいよいよ現実のものとなり……
産業革命に端を発した西洋近代文明の行き詰まりが見えてきた今こそ……
鎮守の森、を擁する神ながらの道、日本文化、神道の出番ではないか…と。


―地球温暖化に思ふ―「好都合な真実」日本が誇る鎮守の森(完)―


P.S

先日、一番町を歩いていたら、地球温暖化を止めるためのプロジェクト
「30秒で世界を変えちゃう新聞」の「豪快な号外」というものを道端で手渡されました。
http://www.teamgogo.net/ 

地球温暖化に対する危機感は相当広まっているようですね。


関連、

皆殺しのメロディー(1)(2)
http://digifactory-neo.blogspot.jp/2012/09/1200310_8.html
スピリチュアルブームに思ふ―見えない存在への思ひ
http://digifactory-neo.blogspot.com/2007/02/20072.html
白鯨の古典的退屈ぶりは超一流である
http://digifactory-neo.blogspot.com/2003/08/20038_1.html
土地の持つ力(4)仙台北山
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水の話(5)文学と水
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手のひらを太陽に
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顕教と密教
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阿吽の呼吸
http://digifactory-neo.blogspot.jp/2012/09/20038_1382.html
メルマガ創刊記念 百日裁判(5)オレオレ詐欺
http://digifactory-neo.blogspot.jp/2012/09/520042.html
鎮守の森 (新潮文庫)

不都合な真実

「都市主義」の限界 (中公叢書)

経済成長がなければ私たちは豊かになれないのだろうか (平凡社ライブラリー)

日本奥地紀行 (平凡社ライブラリー)

イザベラ・バードの『日本奥地紀行』を読む (平凡社ライブラリーoffシリーズ)

日本とは何かということ―宗教・歴史・文明 (NHKライブラリー)

日本人と「日本病」について (文春文庫)

梅原猛著作集〈9〉塔 (1982年)

梅原猛著作集〈10〉隠された十字架 (1982年)

梅原猛著作集〈11〉水底の歌 (1982年)

梅原猛著作集〈15〉飛鳥とは何か (1982年)

梅原猛著作集〈19〉美と倫理の矛盾 (1983年)

君は弥生人か縄文人か―梅原日本学講義 (集英社文庫)

神風連とその時代 (MC新書)

日本近代化の思想 (講談社学術文庫)

天皇制の基層 (講談社学術文庫)

日本人のための憲法原論

大東亜戦争ここに甦る―戦争と軍隊、そして国運の大研究

大東亜戦争肯定論

対話・日本人論 (1966年)

「東京裁判」を裁判する


宰相の器―人心は、どんな男に向かうのか (集英社文庫)

現代芸術の戦略―中村雄二郎対話集

精霊の王

哲学の東北

論理哲学論 (中公クラシックス)

空海とアインシュタイン―宗教と科学の対話 (PHP新書)

日本的霊性 (岩波文庫)

法華経〈上〉 (岩波文庫)

法華経〈中〉 (岩波文庫)

法華経 下  岩波文庫 青 304-3

あの世はあった―文豪たちは見た!ふるえた!

「神道」のこころ

永遠の創造 神道のちから―人間を超える力とは…

神道の逆襲 (講談社現代新書)

日本人なら知っておきたい神道

神国日本 (ちくま新書)

南方熊楠選集 1

南方熊楠選集 2

南方熊楠選集 3

南方熊楠選集 4

南方熊楠選集 (5)

南方熊楠選集 (6)

南方熊楠選集 (別巻)

南方熊楠と「事の学」

近代文学の終り―柄谷行人の現在

NAM生成

更新期の文学

書きあぐねている人のための小説入門

岩波講座 文学〈2〉メディアの力学