2003年9月1日月曜日

文明の衝突!?(3)21世紀日本の戦略 2003.9.X 初出

というわけで現在世界は、文明の衝突、状態にあるわけです。
もう資本主義と共産主義の対立という時代は過去のものになってしまい、
少なくとも21世紀前半は文明の衝突になるだろう、という事であります。

そういった中、ヨーロッパはさすがにしたたかで
既にユーロ圏という文明圏と経済圏が
一致したブロックを築いてしまいました。
冷戦後、国連を無視した一国主義的傾向を
強めるアメリカに対しても対抗できる
スタイルを既にヨーロッパは築いてしまった。
実にしたたか、さすが欧州といった感じがします。
今回のイラク戦争に対しても、ユーロ圏の
フランスやドイツは、アメリカ政府に対して
ガンガン文句を言っていましたが、ユーロ圏を既に形成している、という
自信の裏づけがあっての事でしょう。
たいしたものだと思います。欧州。

ユーロ圏を見ていて実に、文明の衝突だな、と
思わせられるのは、ユーロ圏にトルコが加盟できなかった、という事です。
トルコがヨーロッパに位置しながらも
ユーロ圏に加盟できなかったのは
イスラム系の国家だからだ、という話です。
まさに文明の衝突。

では文明の衝突状態の中で、日本は21世紀どうやって
サバイバルを計っていけばよいのでしょう。
日本がユーロ圏のようなスタイルを
作ろうとした場合、ある程度モンゴロイドとしての共通性を
持つアジアと組むしかないような気がします。
ある程度のマーケットを確保できる
経済圏を作っておかなければ早晩
現在の経済規模を維持できなくなるのは
目に見えているわけですから。
そう考えるとバブルの勢いがあった頃に
日本主導でアジア経済圏を作っていれば
今頃ユーロ圏のように、一国主義的傾向を強める
アメリカ政府の横暴に対してNOと言える位置にいたのにな、と
思ってしまいます。
政策担当者はいったい何をしていたのだろう、と
思ってしまいますが、国防を米軍に一方的に依存している限り、
日本独自の戦略、というのは中々立てられないというのが現実なのでしょう。
新宮沢構想と言われるアジア通貨構想はアメリカ政府に潰されたようです。
反米、反グローバル化、反西欧の熱い発言で知られる
マレーシアのマハティール首相の東アジア通貨基金構想も
潰されてしまったようです。なんたる事だ。

今からアジア経済圏を作ろうとしたらきっと
ここ10年で急速に力をつけてきた
中国がイニシアティブをとる事になるのでしょう。
ちょっと前まで世界一の繁栄状態にあった国に住む
僕としては、ちょっと面白くない事実ですが
アジア圏は中華圏になってしまうかもしれません。
というか既になってきていますね。なんたる事だ。

そこで石原慎太郎さんの
大東亜共円圏構想となるのでしょうが
いくらなんでも、大東亜共円圏、は
ないのではないだろうか。
マッチョな石原さんらしくて
僕は面白い発想だとは思いますが
小泉首相が靖国神社に参拝する度に
中国政府や韓国政府が猛抗議してくる現在の状況で
大東亜共円圏、にどれだけ現実味が
あるのだろう、と思ってしまいます。

と、ズラズラと書いてきましたが
21世紀のスタートにおいて
日本は決定的に出遅れてしまったのかもしれません。
冷戦が終わり、国際政治の舞台は
歴史の終焉、ではなく、文明の衝突、へと
向かっていて
ヨーロッパはちゃっかりユーロ圏を築き
アジアでは急速に力をつけ始めた中国が
中華圏構想を練り始めている。
そういった中、冷戦に勝って一時は
一人勝ちしていたように見えたアメリカ政府の
イラク征伐に賛成してついて行くのは
ユーロ圏に距離を置いている
ヨーロッパの島国イギリスと
アジア圏に距離を置いている
アジアの島国日本。
僕は何か決定的な判断ミスがあったような
気がする。

文明の衝突の著者サミュエル・ハンチントン教授の
分類によれば
日本はアジア文明に属するのではなく
日本は日本文明という一つの文明圏であるとの事。
その点に関してはハンチントン氏の
炯眼かもしれません。
日本は、日本文明という一つの独立した文明圏。
僕もそんな気がします。

もう米軍に帰ってもらって
300年くらい鎖国するしか残された道はないのかもしれません。




-文明の衝突!?(完)-
文明の衝突