2003年8月1日金曜日

仙台ライブハウス事情-仙台発、全国へ、世界へ- 2003.8.1 初出

というわけで、仙台出身のLONG SHOT PARTYというバンドが
全国的に暴れ回っているらしい、という情報をゲットした僕は、
さっそく出来立てのZeep Sendaiにライブを観に行ってみる事にしたのでした。

LONG SHOT PARTYはロック好きの友人の話によると
仙台出身のスカパンク? バンドなのだそうです。
スカ・パンク? 何だそれ?
最近はバンドもやたらジャンル分けが増えて
訳が分からない状態ですが
要は表現は全て、自分の感性がどう反応するか、の
一点につきるような気がします。
まずはライブに行ってみるべし。ライブだ、ライブ。
というわけで以下LONG SHOT PARTYのライブ体験談です。

・In Zeep Sendai
客席はオールスタンディングの超満員です。
何組かのバンドの演奏が終わって
観客は既に興奮状態にあります。
僕は本日お目当てのLONG SHOT PARTYの
登場を今か今かと待っていました。
一瞬観客のざわめきが高まり
どうした! と思ってステージに目を向けたところ
バンドのメンバーが遂にステージに現れました、と
思ったらイベントのスタッフの方でした。
何だよ……イベントのスタッフの方は黙々と
機材の調整を行ってからバックステージに
消えていきました。
僕はいつも思うのですが
あの役は中々おいしいと思うのです。
一瞬観客の期待の視線を一身に受けた
スター気分を味わえる。
僕もあの役やってみたいな……などと
指を咥えてポーッとしていたら
いつの間にかステージには
LONG SHOT PARTYのメンバーが
いて演奏が始まっていました。やられた。

あれは何だ?
ステージ近くで観客の頭上を
人体が飛び回っています。ダイブだ、ダイブ。
演奏開始二秒でいきなりダイブ!?
なんたる事だ。
LONG SHOT PARTYは一瞬で
Zeep Sendaiの空気を変えてしまいました。
凄過ぎる。開始二秒で着火。

ステージの最先端に飛び出してきたボーカルが
完全に入り込んだ状態で歌いだしました。
完全に入り込んでいます……シャーマンのようだ、と
僕は思いました。声がいい。
この声で御宣託を下されたら僕はつき従ってしまうかもしれない。
それは恐怖に近い感情でした。
そしてギターもベースも、みなさん跳んで下さい、踊って下さい、という
メッセージを発してします。
もちろん聞こえてくるのはギター音とベース音。
でもその音にはメッセージが含まれています。
俺たちの音楽で騒いでくれ。
俺たちの音楽で騒いでくれ。
そんなメッセージが場数を踏むことで培われた自信とともに伝わってきます。
これは凄い。ギターとベースが語っている。
僕も次第に脳内にアドレナリンが放出されてきて
騒ぎたくなってきました。
そして極め付きはドラムが打ちならされる中で
吹き上げられるトランペットとサックスのホーン音。
なんだこの音は。物凄い解放感だ!
これがスカ・パンク!? LONG SHOT PARTY!?

日常で心身に溜まっていたものが全て解き放たれていき
だんだん恍惚としてきます。物凄い解放感です。
LONG SHOT PARTYの演奏が始まってから僕は
人類の未来も、宇宙の構造も、日本の将来も、
一切合切一瞬たりとも考えませんでした。
そんな事はもうどうでもいいと思った。
僕は完全に文学から解放されていました。

みんな色々あるだろうけど
今日この時間この場所においては、とりあえず跳んで踊って楽しんでいって下さい。
LONG SHOT PARTYのそんな強烈でシンプルで
ポジティブなメッセージは、僕のどうしようもない文学性を完全に消し去り、
精神を解放してしまいました。
ほんとヤヤコシイ事はもうどうでもいい。
ずっとここにいたい、と僕は思いました。

以上LONG SHOT PARTYのライブ体験談でした。
ホント行ってよかったです。
やっぱりロックバンドはライブに限ります。
後日僕は、LONG SHOT PARTYのファーストアルバム
MAKING OURSELF UNDERSTOOD IN OUR SOUND
をタワーレコードで購入してしまいました。
今も時々聞きます。そして文学から解放されたあの日のライブを思い出す。
これ王道の楽しみ方。やっぱりライブです、ライブ。

そして仙台にライブハウスが増えてきました。
Zeep Sendai然り。JUNK BOX然り。
僕が学生の頃は仙台MACANAくらいしかなかったような気がします。
あとスコール? 
他にもあったら申し訳ないのですが一応僕は小説家の卵なので許して下さい。
要は気軽にライブを観に行けるようになってきて嬉しいな、という事を
言いたいわけです。

そして小さなライブイベントを覗いたりしてみると
デビュー前のバンドが、パソコンでCD-Rに焼いた自分達の曲を
200円とか300円で売ったりしています。
そういった光景もかつてはあまりなかったような気がします。
そう考えるとパソコンの発展も大きいです。
ちょっと絵の描ける人にCDジャケットをデザインして
もらえば、市販のCDとそんなに遜色のないものが
作れてしまえます。レーベルと契約しなくてもそれなりのCDを作れてしまう。
そしてライブハウスでイベントをはってちょっとずつ売っていく。
そして力をつけていく。
そういった様々な要素の相乗効果で仙台のライブシーンは
盛り上がってきているのかもしれません。
面白くなってきました。

仙台のスカバンドと言えばもう一つ
THE GHOST SYNDICATEも紹介させて下さい。
こちらは活動歴十年以上のベテランバンドです。
僕は依然ひょんな事からこのバンドのサックスの方と
知り合いになるという幸運に恵まれまれまして
THE GHOST SYNDICATEのライブも三回ほど観に行っています。
こちらも中々格好いいライブをやります。
風の便りではTHE GHOST SYNDICATEは
最近フランスに進出したという話です。

LONG SHOT PARTYは全国的に暴れ周り
THE GHOST SYNDICATEはフランスへ進出。
仙台発で全国へ、世界へ。
仙台のライブシーンは盛り上がってきています。



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