モノだらけだ。
足の踏み場もないとはこのことか
と、僕は思った。
先日、とある友人宅へお邪魔したところ
部屋中モノだらけで歩く隙間もない状態で
本人は、流行の、片付けられない症候群、だよ
などと頭を掻いていました。
どうしてモノを捨てられない人が
増えているのだろう。
かつて、捨てる技術、という本が
ベストセラーになったような記憶もあるし。
戦後から高度成長期にかけては
大量生産、大量消費の時代だったと言われます。
焼け跡から復興へと向かう過程で
とにかく物資がなく
つくればつくるだけモノが売れた時代が
あったのだそうです。
経済学で言うところの、セイの法則(供給が需要をつくる)が
機能していたのでしょう。
そういう時代は、モノが資産だったわけですね。
モノを大切にしましょう、という標語もありました。
モノを大切にしましょう、と教えられた人達が
片付けられない症候群に陥っているような
気がします。
不要なモノでも、何かの役に立つ気がして捨てられなく
なっているのではないでしょうか。
バブル崩壊が誰の目にも明らかになった
98~2002年(本当は91年に終わっていたらしい)
様々な面で社会に理解できない
事件が起こり始めたころ
モノが豊かになったわりには心が貧しくなった
と、年配の方はよくボヤいていました。
モノが豊かになる事が豊かさの指標だった時代に
精神を形成した人達には、確かにそう見えた
のでしょうが、有名なマズローの欲求段階説によれば
人間の欲求は、ピラミッド状に形成されていて
ある欲求が満たされると、今度は次の段階の欲求を
志向していくものらしいのです(ちなみにピラミッドの
頂上は自己超越です)経済学でいう限界効用逓減の法則と似てますね、一杯目のビールは旨いが、二杯目はそんなに旨くない……
僕はマズローの見方に賛成で、モノが溢れている現在
モノが豊かになって心が貧しくなった、訳ではなく
単にモノは溢れているので、多くの人の欲求段階が
上がり、悩みの質が変化しているのだと思います。
ぜいたくな悩みってやつですね。
~ぜいたくな悩み(完)~
「捨てる!」技術
(宝島社新書)