2003年5月1日木曜日

女の直感 2003.5.1 初出  

というわけで、中田とイチローと松井、誰を支持するか
でその人のスタンスが分かる、という話が激論へ至ったのであります。
気の弱い僕はあまり発言できなかったので
以下僕の意見。

かつて1940年体制と呼ばれるものが日本にはありまして
これは日本が太平洋戦争へと向かう中で
国民を総動員するために取られた体制だったようです。
その名残りが源泉徴収制度などに見られます。
つまり国家がサラリーマンというカテゴリーから効率的に
金を徴収するのに便利だったのです。
ちなみに税金が自動的に給料から天引きされるため
日本人はタックスペイヤーとしての
自覚が中々もてないとも言われていました。

日本人がみんな一丸になって何かに向かう
戦争、或いは経済戦争へ。
それが1940年体制と呼ばれるものです。

そういった中でみんなと一緒じゃなきゃいけないとか
出る杭は打つとかいう強制力が社会に出来てしまったのでは
ないかと考えられるのですが
そういった雰囲気を当然のこととして生きてきた人達は
巨人の四番である松井が日本を代表して大リーグへ
挑戦する、というストーリーに酔って涙してしまうのでしょう。
石川県の実家の映像を観て心暖まったり……。

松井を支持する人は1940年体制の匂いがしない
中田のような人間を見るとプンプンしてしまうようです。
単に個人として努力してイタリア語も覚えて生活も楽しんでますよ
別に日本人のために頑張っているわけじゃないよ、という姿を
見せられると、お前なんか応援しねえよ、となってしまうようです。
これからの日本および世界の変化を考えると実は
それが日本のためになっているような気もしますが。

で、イチロー。サムライのように、或いは修行僧のように
たんたんと野球に取り組み結果を出す。
子供たちのサインにも答える。メジャーリーグが求めるクリーンな
成功者の模範という気がします。
アメリカは所得格差が激しく人種も様々。そういった中で
NBAやメジャーリーグ、或いはハリウッドがアメリカンドリームを
提供し続けないと社会が成り立たないのでしょうが
日本もこれからそういったジャパニーズドリームを設定できないと
子供達はどんどん腐っていってしまうように思います。

どうやら1940年体制は終わるらしい。
一億総中流社会の中で、みんながおらが村のスターを応援する
という時代が終わってしまうらしい。
いい大学、いい企業、出世コースというのも復活しないらしい。

次の時代のスタンダードがどういうものになるか分からないが
とりあえず1940年体制はもう終わる。

最後にとある女性の意見。
イチローと中田はかっこいいけど、松井はかっこわるい。

女の直感って当たる。