2003年5月1日木曜日

むかでの一歩 2003.5.X 初出

フォーラス近くの靴下屋二階
むかでや画廊に行ってきた。
目当ては宍戸清孝写真展-カンボジア-

カンボジアの戦争での混乱の中
野外で営業する床屋さん
服自体が足りない中でも、懸命にお洒落をする伊達男
赤ん坊を抱えた母親の、母性に溢れた眼差し
カメラに向かって無垢な笑顔を見せる子供たち
雑踏の中、交通整理をする兵士
森の中を手を組んで歩く少女たち
足を失くし、義足で歩く男……

一言で言って、混乱の中にも
人間の生命力が溢れていました。

父親は父親らしく
母親は母親らしく
男の子は男の子らしく
女の子は女の子らしい
というキャプションもありました。

一緒に写真を観ながら説明してくれた
むかでや画廊主催の奥さん(とても上品な女性の方)が
私達が子供の頃の日本もこうだった、と呟いていました。
戦争で国土が焼け跡になってしまい、進駐軍がやって来て
みんなボロを着て、負傷した帰還兵もいて
でも子供達には生命力が溢れていた。
今日本は物質的にはこんなに豊かになったのに
子供たちは病んでいる……
最後は裸足のゲンの話になりました。

人間と戦争ってなんだろう、と思いました。
ある友人が、火星人が攻めてきたら
きっと地球全体に危機感が広がり
人類は争うことを止め
世界市民ができる、と言っていました。
例によって気の弱い僕は反論できなかったので
ありますが
それは9.11テロでそれまでバラバラだった
アメリカ人が急に一体感を持って
星条旗を掲げだしたり
日本が太平洋戦争へ向かう中で
鬼畜米英と叫んで一体感を
持ったのと同じ構図だと思いました。

つまり人間というのは
共通の敵が現れないとまとまれないのかな、と。
人間ってなんだろう。
戦争ってなんだろう。
トルストイを読みたくなってきた。

一番町にこんな画廊があるのは
素敵な事です。仙台万歳!

むかでの一歩
宍戸清孝写真展 5/23~5/28 むかでや画廊