2003年6月1日日曜日

ゲーム脳とたけしの挑戦状 2003.6.X 初出

昔、たけしの挑戦状、というゲームが
ファミリーコンピュータにありました。
かなりマニアックなゲームなので
覚えている方は少ないと思いますが
映画監督、北野武さんが、ビートたけし
としてバラエティー番組などで活躍
していた頃、その名前を冠して発売された
ゲームです(企画にも携わったので
しょうか? )
最近ゲームと若者の暴力についての
相関関係を研究している人が増えて
いるらしく、ゲーム脳、という言葉を
聞くようになりました。それで僕は
たけしの挑戦状、を思い出したのです。

確かに最近の少年犯罪は凶悪化している、と
僕も実感します。
僕が子供のころは、どんな悪ガキでも
ホームレスという弱い立場にある人間を
集団で殴り殺す、などという少年達は
いませんでした。
それでこれはどうした事か、と
これはゲームのやり過ぎではないか、と
勘ぐる研究者が増えてきたのだと
思います。
ゲームをやり過ぎると脳波が変わって
ゲーム脳になってしまう、らしい、ホントかい?

今週の新聞のニュースにもこんなのがありました。
17歳以下の未成年に暴力的描写のあるゲームを
販売した業者に、最高500ドル(5万円位?)罰金を
課すワシントン州法に対して、業界団体が違憲訴訟-。

さて、どうなのだろうゲーム脳。
ゲーム脳と言わないまでも、ゲームは
少年達に悪い影響を与えるのだろうか。

僕が友人に聞いたゲームにまつわる一番
過激な話は、オンラインゲームの話です。
オンラインのロールプレイングゲーム
に参加したところ、自分が抜けると
オンライン空間でパーティーを組んでいる
他の人達も先へ進めなくなるため
毎日ゲームをするハメになってしまった、との事。
メル友と一緒にネット上のドラゴンクエストや
ファイナルファンタジーに参加した、という形
をイメージすればよいのだろうか? 
それでだんだんオンラインゲームから抜けられなく
なってしまい、最後は会社を辞めてしまった、との
事。
僕はその話を友人から聞いた時
笑ってしまいましたが
当事者や家族はちょっと笑えない話です。

閑話休題。
ゲーム脳とは言わないまでも
ファミリーコンピュータが発売されて以降の
世代には、少なからずゲームの影響は
見られるような気がします。
ドラゴンクエストシリーズは大ヒットしま
したが、思考の回路がドラクエ化している
人はよくいます。
例えば、イヤな上司や顧客はモンスターで
それを倒すとレベルが上がるんだ、という
言い方は結構普及しています。
中途半端なプラス思考を進めるビジネス書
なんかより、とてもたくましい考え方だと
僕は思うのですが、ちょっと人生が
ゲーム化してる面は感じられます。
イヤになったらリセット、という事に
ならない事を僕は祈ります。

で、たけしの挑戦状、に戻るのですが
普通のゲームはたいてい攻略法とか
カタルシスを得る場面であるとか
シューティングでポイントが増える、と
いう場面があります。
それでプレイヤーはストレスを発散したり
ゲームの世界にハマったりしていくのですが
たけしの挑戦状にはそれがないのです。
たけしの挑戦状では、プレイヤーは
パチンコ屋に行ってハネモノを打ったり
街で因縁を吹っかけられて喧嘩に巻き込まれたり
家に帰れば女房・子供に追い出されたり、と
はっきり言って何をすればいいのか
分からないゲームなのです。
それで宝探しの話が出てきて
宝探しのゲームなのかな、と思って
宝を探すために飛行機に乗ると
飛行機が墜落してゲームオーバー。
物凄くイライラさせられましたが
ゲームの中なら何でも思い通りになる、と
思っていた幼き僕にとって
たけしの挑戦状、はちょっとショックでした。
あ! たけしの挑戦状、という言葉の
意味が今分かりました。
ビートたけしはゲームを通して
世の中はゲームとは違うんだぞ!
バーチャルワールドと
リアルワールドとは違うんだぞ!
と、ゲーム世代の僕達に挑戦状を
叩きつけてきたのだ! 
それで、たけしの挑戦状……。
なんたる事だ……凄いぞ、ビートたけし……。

なんか深読みし過ぎているような気もしますが
北野武さんはやっぱり凄い人だ。
ゲームと若者の暴力との間に
相関関係があるのかないのか
僕はよく分かりませんが
北野武さんは凄い、と
あらためて思いました。

-ゲーム脳とたけしの挑戦状-