2003年7月1日火曜日

卵党総裁演説 其の一 構造改革とは 2003.7.X 初出

小泉政権が誕生した頃から
構造改革、構造改革、と叫ばれるようになり
酒の構造改革じゃ、などというTVCMまで
飛び出したわりには、構造改革って何の事? と
聞かれると、具体的には何の事だかよく分からない、と
いうおかしな状況がしばらく続いていました。

何やら流行語大賞的なノリであらゆるメディアが
構造改革、構造改革、と騒ぎ、みんなよく分からない
まま、変わらなきゃいけないんだ、という
プレッシャーだけを感じていたような気がします。

自分がどう変わればよいのか分からないし
構造改革が達成されたらどういった社会に
なるのか、というイメージがもてないから
とりあえず若者達はみんな髪を染めている
ようだし、オジサンもちょっとだけ茶髪にして
みようかな、という雰囲気でした(でした、と断定して
よいのだろうか……)

それに比べると戦後の国民所得倍増計画とか
日本列島改造論、なんていうのは
とても分かりやすいものだったように思います。
国民所得倍増計画、日本列島改造論。
こうして戦後や高度成長期のスローガンを
書いてみると、本当に社会主義国の計画経済下で
作成される五ヵ年計画のようです。
やっぱり日本は唯一成功した社会主義国だったのかな
などとも思えてきます。
構造改革というスローガンもきっと
そういった戦後や高度成長期のスローガンのノリで
伝えられるのでイメージがつかめなかったのだ、と
今分かりました。

構造改革というのはむしろ国民所得倍増計画とか
日本列島改造論といった、かつての日本人全員に訴えて
日本人全員に利益をもたらす、というような
スローガンとは全く逆方向のものだ、と
考えた方がよいのかもしれません。
つまり、唯一成功した社会主義国、と揶揄されつつも
なんとか50年間やってきた戦後日本の
構造を壊します。もう日本人全員に訴えて
日本人全員に利益をもたらす政策は
行いません、というのが構造改革だ、と。

戦後の日本が実質社会主義国だった、という
ことに異論がある方もおられると思いますが
とりあえず状況を理解するために
仮にそうであったとしてみます。
すると構造改革というのは
戦後体制を壊してこれから日本は本当の意味で
資本主義国になるので
もう中央政府は貧困層や過疎地への富の再配分を
行いませんし、市場のバトルで負けた人は死んで下さい、
という事なのだ、という事になります。
そう捉えてみると今様々な分野で起こっている事が
イメージしやすくなると思うのですがどうでしょうか。

三方一両損? などのよくわからない言葉に
惑わされているうちに
医療費の自己負担比率が上がってしまったし
地方の自立などという掛け声で
地方自治体への交付金や助成金が減らされようと
している。
民間でできる事は民間でという事で
公的機関の仕事も削られ始めている。
それでいつの間にか何でも自己責任ということに
なってしまって年金や雇用保険も削られはじめた。
つい最近はフリーターに対する
雇用対策を立てたが予算がつかなかったので
実効性がありません、などという笑い話の
ような本当の話があった。
(対策を立てるだけなら僕でもできるぞ)

上記のような最近の中央政府の一連の動きに共通して
いるのは、これからの日本は本当の意味で資本主義国に
なるので、もう政府は貧困層や過疎地に富の再配分を
行いませんし、市場のバトルで負けた人は死んで下さい、
というメッセージなのではないだろうか。

構造改革とは、これからの日本は本当の意味で資本主義国になるので、
もう政府は貧困層や過疎地に富の再配分を行いませんし、
市場のバトルで負けた人は死んで下さい、ということ?

僕も唯一成功した社会主義国下で
みんな平等じゃなきゃいけません、という教育を受けてきた世代なので、
最近この国で起こり始めていることを見ていてなんか変だな、とは
思っていたのですが、まさか驚異的支持率を誇る小泉政権が掲げる
構造改革というスローガンの正体が、これから日本は本当の意味で
資本主義国になるので、もう中央政府は貧困層や過疎地に富の再配分を
行いませんし、市場のバトルで負けた人は死んで下さい、だったとは……。

痛みを伴う構造改革、それは
痛みを伴いながら戦後日本のシステムを解体し
痛い人はずっと痛くて
痛くない人はぜんぜん痛くない国にします、という
ことなのではないだろうか……何たる事だ。
何でそんな改革をみんなが支持しているのだ。


卵党総裁演説 其の二へ続く
http://digifactory-neo.blogspot.jp/2012/09/20037_7.html