2003年7月1日火曜日

八木山動物園(3)猿山 2003.7.X 初出

ライオンさんやトラさんにバイバイした僕は
お猿さんのいるコーナーに来ていました。

お猿さん達は猿山を形成していました。
猿山はボス猿さんを頂点とするヒエラルキー構造
を持っているようです。
ちなみにヒエラルキー構造というのは
ピラミッド型の階層社会のことです。

人間社会も様々なヒエラルキー構造によって
成り立っています。
事務総長さんを頂点とする国際連合。
大統領さんを頂点とするアメリカ合衆国。
総理大臣さんを頂点とする近代国家日本。
社長さんやCEOさんを頂点とする株式会社。
知事さんを頂点とする地方自治体。
昔は父親さんを頂点とする家父長制度というものも
ありました。

僕は猿山を観察する事で人間社会に有為な
考察を得られるのではないか、と胸が躍りました。
ヒエラルキーを形成しないと社会を維持できなく
なるのはたぶんお猿さんも人間も一緒です。
チンパンジーと人間の遺伝子は1パーセントしか
違わないという話もあります。

でも多くの人は、猿みたいだ、と言われると
怒ります。虎の如く、や、ライオンのように、という
のは褒め言葉でも、猿のようだ、は
ちょっと侮辱のニュアンスがあります。
人間はなぜ猿に譬えられると怒るのだろう。
それは自分達が猿達と決別し、人間としての道を
歩み始めた太古の記憶が呼び覚まされるからかもしれません。
だから、猿みたいだ、と言われると
あんなずっと昔に決別したダサい連中と
一緒にしてくれるな、と感情的になってしまう。

閑話休題。
猿山を注意深く観察していると
周辺以下の地域で猿同士がばったり出くわした時
ウッ……
ウッ……
という感じでお互いの力量を計り
あ、負けた……
と思った方が自然に道を譲るようです。
それでたまに
ウッ……
ウッ……
で分かり合えないとケンカが始まります。
すると猿山の上の方にいる強そうな
猿がノソノソ出てきて
ウウウッ……
と双方威嚇し、丸く治めて猿山のヒエラルキー構造を回復します。
僕はなんだか自民党の族議員と呼ばれる先生達を
見ているようで、なんとも嫌な気分になってしまいました。
ウウウッ……。

でも猿山の上の方にいる強そうな猿達には
なんとなく威厳がありました。
ゆったりしていて余裕があります。
そして猿山のふもとでは
かわいらしい小猿を母性にあふれた母猿が
見守っていたりします。
僕は猿山というのは中々よくできた
ヒエラルキー構造社会だな、と思いました。


八木山動物園(4)へ続く
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