法廷に入ってしばらくして僕は
これから行われるのはどうやら
刑事事件の裁判らしい、という事に
気がつきました。
それも殺人事件らしい……と。
最前列には各メディアの記者達が陣取っています。
これはえらいことになってしまった、と僕は
思いました。
地下食堂でトンカツ定食を食べてから
フラリとやってきた人間が、ひやかし半分で
覗いていいような裁判なのだろうか、と。
一旦廊下に出てから考えなおそうか、とも
思いましたが、既に傍聴席の入口のドアは
閉めらています。
授業中に教室を抜け出すのが難しいのと
同じで、一旦固まった空間からは
抜けにくいものです。
どうしよう、どうしよう、と逡巡している
うちに、裁判が始まってしまいました。
-仙台高等裁判所、其の七、へ続く-
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